地球規模の環境問題から実用的な土づくりまで幅広い視点から農業について学びます。技術や知識に加え、表現力や思考能力なども身につけていきます。
カリキュラムの流れ
1年次:基礎
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「自然とは何か?」から学ぶ。環境学の出発点。
- 生命と環境の倫理
- 基礎数学
- 基礎生物学
- 物質と生物
2年次:専門コーススタート
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環境保全の社会科学と自然科学の専門に踏み込んでいきます。
- 環境保全型農業概論
- 資源・エネルギーと文明
- 物質と化学反応
- 農業基礎実習
3・4年次:専門研究→卒論提出
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資源循環や環境保全、農業等々、各々の特別のテーマの卒業論文を2年かけて作成します。
- 農業生態系のしくみ
- 遺伝と育種
- 環境分析化学実験
- 地球上での水とエネルギーの流れ
- 資源循環の経済学
- 環境に配慮した企業経営
- 農業の経営と農作物の流通
- 農業インターンシップ
講義・演習ピックアップ
地球と農地での物質の動き
担当教員 長井正博 教授
地球上の物質は物理や化学の法則に従い移動し、形態を変えます。環境を元素や原子の視点で見る力が身に付く科目です
地球環境や農地で、物質は物理学や化学の法則に従って、移動し、形態を変えます。こうした物質の動きや変化では生物が重要な働きをします。この科目では、コースのカリキュラムでそれまでに学んだ化学、エネルギー、植物、土壌、土壌生物などについての知識をもとにして、環境中の重要な物質について、動きとそれを支配する法則について学びます。この科目を学ぶことで、環境を元素や原子の視点で見る力が身につきます。
生命と環境の倫理
担当教員 内藤可夫 教授
環境問題は人間のモラルが引き起こした!?過去を反省し、これからの倫理、人間の生き方を探っていきます
実は人間の生き方、心のあり方が環境問題解決のカギです。自然を慈しむ生き方や動物と人間の関わりなど、考えていくべき問題が数多くあります。何よりも、環境破壊や食糧不足で命を落としていく人々を懸命に守ろうとする心がいま必要です。これまでの人間の倫理思想を振り返り、環境問題を引き起こした原因を探ります。また、私たちの子供たちや子孫を救うための、新しい倫理、人間の生き方はどうあるべきかを探っていきます。
野菜と穀物の育て方
担当教員 守村敦郎 教授
野菜や穀物の育て方について学びながら、趣味から産業、文化としての農業のあり方について考えます
私たち、特に都市生活者に自然の存在はますます希薄化しつつあります。農業は食料の供給という、人間社会を維持する上で最も重要な部分を担いますが、これを学び、土を手に取り植物を育てることで、私たち自身も生態系の一部であることを感じ、自然との共存について考えることができるでしょう。本科目では野菜や穀物の育て方について学びます。そして趣味から産業、さらには文化としてまでの農業のあり方について考えます。
生物多様性
担当教員 藤井伸二 准教授
環境と植物の驚くべき関係、人間が植物に与える影響など、植物学の視点から環境保全を考えます
生物による地球環境の形成と人間活動の影響を学べば、環境保全への問題意識を高められます。講義では生物の多様性と進化を軸に、自然環境の知識と理解を深めます。特に植物と環境との関係を分類学的・生態学的に解説し、進化的側面も考察。環境を生物学的視点から捉えることで、人間活動が環境に与えてきたインパクトの評価を試みます。科学的で積極的な取組姿勢を身につけることをめざしています。
大気・土・水の測定の基礎実習
担当教員 藤井芳一 講師
土壌や水の分析データから環境の状態を判断できるようになる力を身につけます。報告の仕方を学ぶことは将来必ず役に立ちます
環境要素を数値データとして知ることは、情報共有や比較をする上で重要です。そのため、土壌の物理化学性、水の挙動及び気象について基本的な測定手法を習得し、そのデータから環境の状態を判断できるようになることが本実習の目的です。また、測定して得られた事実を、第三者に報告するためのまとめ方(レポートの書き方)についても学びます。報告の形式について知ることは、将来どの分野に進もうとも必ず役に立ちます。
資源循環型社会概論
担当教員 吉野敏行 教授
大量生産・消費・廃棄の「一方通行型経済社会」から「循環型経済社会」へ。その現状と展望を明らかにします
20世紀の高度経済成長は、無尽蔵な資源と環境の自己浄化力を前提とした大量生産・大量消費・大量廃棄の「一方通行型経済社会システム」によって実現されました。しかし、環境汚染や環境問題等に直面し、現在の経済社会は限界に達しています。循環型社会の形成促進という立場から、廃棄物問題の社会的経済的背景、住民・業界の減量・リサイクル活動、行政の政策や諸制度を学び、循環型経済社会の今後を考えます。
資源・エネルギーと文明
文明は「人間と自然の間での物質・エネルギー代謝の仕方」という視点から、今後の持続可能な文明の代謝のありかたを考えていきます。
植物体内での水と物質のはたらきI・II
植物が環境から光エネルギー、水分、養分を取り入れ、それらが植物体内でどのようなはたらきをするのかを学びます。
基礎生態学
生物、植物が環境の中で、どのように環境に適応し、相互作用しながら、生態系を成り立たせているのか。その理解を深めていきます。
植物形態実習
双眼実体顕微鏡を使った植物の形態観察、植物標本の作製、植物図鑑を使った同定、野外での毎木調査などを行います。
土作りと肥料
作物を育てるには、土の役割と特性を理解する必要があります。農地での「土と微生物と肥料」のはたらきを学びます。
環境分析化学実験I・II
実験計画立案、器具準備、試薬調整、試料水の採取、成分分析。機器分析に必要な知識と技術を身につけます。
環境思想
文明をつくり、文化を育み、人間と自然の関わり方を規定してきた「思想」の読み方、考え方を学んで、重要な環境思想を考察します。
農業基礎実習I・II
太陽の下でからだを動かして、自分の食べるものを作ります。光や風を感じ、野菜の生育に触れ、人と環境の関わりを実感してください。