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外観察園の四季 | 7月

 

イヌビワ  Ficus erecta Thunb. var. erecta  クワ科

関東より西の低地の林内に生える落葉低木。雌雄異株で成長が早い木です。「ビワ」とついていますがイチジクの仲間で、よく見ると親指ほどの実はイチジクそっくりです。イヌビワの花はこの実の中にあります。イチジクがプチプチしているのは無数の小さな花が咲いてできた後の種子なのです。オスのイヌビワの実の中ではイヌビワコバチというごく小さな昆虫がすんでいて、両者は共生関係にあります。イヌビワはイヌビワコバチにすみかを与える代わりに、花粉を運んでもらっているのです。花粉を体につけたメスは実の中に入り込んで卵を産みますが、メスの木の花には花のつくり上産卵できず、花粉を運ぶだけになってしまいます。おかげで雌の木の実は黒く熟します。はねを持って移動できるのはメスだけで、オスは一生実の中で暮らします。すみかになるのはオスの木の実です。

また果物のイチジクはメスの木だけで実ができる品種を使い、日本には虫もいませんのでご安心を。

2015.7


イヌビワの花(左)と熟した果実(右)

雄花の中のイヌビワコバチ(矢印)