門脇誠二研究室 | 名古屋大学大学院 環境学研究科 地球惑星科学系 地球史学講座(博物館)| Seiji Kadowaki, Nagoya University Museum, Graduate School of Environmental Studies, Nagoya University

連絡先
〒464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学博物館
Eメール:kadowaki[a]num.nagoya-u.ac.jp
アクセス
名古屋市営地下鉄 名城線「名古屋大学」駅 2番出口から徒歩3分
» 地図はこちら
研究内容 | Research 研究内容

研究紹介:人類の進化と農業起源の考古学
Research: Prehistoric archaeology of human evolution and the origins of agriculture

主に西アジアをフィールドにして、人類全体に関わる歴史イベントである、1)人類進化史における旧人から新人ホモ・サピエンスへの交替と、2)農耕牧畜経済の出現と拡散、に関する考古学研究をしています。どちらの事象も、「新人が旧人より優れていたから」あるいは「農業の方が狩猟採集よりも効率的だから」など、人類進化や文化の「必然的な発達」として説明されがちですが、実際は当時の特定の自然・社会環境の下で生じた歴史的産物であり、その理由を「優劣」で判断することには多くの問題があります。その歴史を地球史の一部と捉え、文字ではなく遺跡から発掘される考古記録(特に石器、動物骨、植物遺存体、建築物)から復元するために、人工物である石器の形態や製作技術の分析を行うほか、人類が利用した動植物遺存体の形態学的あるいは分子生物学的な研究と協同しています。

1)人類進化の考古学―私たちホモ・サピエンスの行動や技術は特別なのか?

研究テーマ:
投射狩猟具の西アジア起源説の再検討
投射狩猟具のアフリカにおける出現と展開
対象地:
東アフリカ、西アジア、南ヨーロッパ
分析標本:
石器(特に小型尖頭器と背付き細石器)

2)農業起源の考古学―農耕牧畜はどのように始まり、世界に広まっていったか?

研究テーマ:
農耕牧畜の拡散プロセスの解明
狩猟の衰退と農耕の発達を道具でたどる―穀物収穫具と製粉具
家畜ヤギの西アジア起源説の検討―古代DNAの系統解析
穀物貯蔵の直接的証拠の検出―植物遺存体と土壌微細形態
古代の農家と農村の発達と再編成をたどる―建築物と活動場
対象地:
西アジア(主にコーカサス地方)
分析標本:
石器、動物骨(DNA)、植物遺存体、土壌、建築物