人間環境大学学長
牧山助友
人間環境大学の前身は明治39年に設置された岡崎裁縫女学校であり、平成4年度に岡崎学園国際短期大学として開学、その後平成12年度に現在の人間環境大学として愛知県岡崎市に開設しました。
平成15年度には、大学院人間環境学研究科修士課程を開設、平成27年度に愛知県大府市に看護学部・大学院看護学研究科博士課程を開設、平成29年度には愛媛県松山市に松山看護学部を開設し、現在、人間環境大学は、三つのキャンパスに3学部・2大学院研究科を持つ大学になり、地域貢献する大学として今までに増してその内容が充実してきています。
本学の理念は、学則において『人間環境に関する該博な知識と深い理解力を備え、すぐれた見識をもって人類と国家社会に貢献できる有為な人材を育成することを目的とする。』としています。
まず、大学名称となっている『人間環境学』とは、関係学会では「人間と環境との相互作用のあり方を解明し、あるべき姿を設計することによって、人間を基軸に据えた新しい研究領域の創成を目的としている」と説明しています。また、『該博な知識』とは「物事に広く通じていること。学識の広いこと。また、そのさま。」ということです。
具体的に人間環境学部では、「人間と環境との関係に関する高度な知識や技術を習得しつつ、創造的に学問を深めることができ、主体的に物事に取り組む人材養成」を行うこととして、平成29年には、さらに充実した体制に向けて改組し、人間環境学部に心理学科と環境科学科を設置しました。
看護学部及び松山看護学部では、「生命とその尊厳を守り、あらゆる人々を最適な健康状態へと導く看護サービスを追求する豊かな人間愛と倫理観に富み、地域の保健・医療・福祉の発展に寄与できる看護人材の養成を行う」こととして、看護学科を置いています。
今、我が国の大学に対する期待と課題について、国や企業等 から多くの提言が出されていますが、中央教育審議会の提言に、我が国の大学が授与する学位として、各専攻分野を通じて培う「学士力」の参考指針に①知識・ 理解、②汎用性技能、③態度・志向性、④総合的な学習経験と創造的思考力が重要としています。
また、地域社会や企業等のステークホルダーからは、グローバル化が進展している世界の中で、主体的にものごとを考え、①多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、②文化的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、相手の立場に立って互いに理解し、③さらにはそうした差異からそれぞれの強みを引き出して活用し、相乗効果を生み出して、④新しい価値を生み出すことができる人材を求められています。
本学は、これら本学内外における課題を共有し、有意な人材を輩出することを第一義に掲げ教職員が一丸となって取り組んでいます。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災による国難 は、今なお続いています。国を挙げての復旧や復興が行われていますが、特に福島第一原発事故はその収束など、一層の取り組みが必要と なっています。被災地から離れたここ本学においても、皆が長く心を寄せ被災地の苦難を我がこととし、復旧と復興を積極的に支援し続けていかなければなりません。本学がめざす教育研究の有り様、学生が学ぶべきことと深く密接に関わっていると思います。人間環境大学はこのことを肝に銘じ、自ら行いうる貢献を 改めて考え、主体的に行動していかなければならないと思います。